『手紙』を読んで
東野圭吾の『手紙』を読んで
高校時代に途中まで読んだことがあったが、精神的にきつく最後まで読めず挫折した本。このことを友達に話したら、「最後まで読まないのはもったいないよ。」と言われ、それもそうかと思い再挑戦した。
私も含めほとんどの人は、自分は差別や偏見などとは無縁だと考えている。世の中に存在する差別に対して怒りを覚え、嫌悪感を感じることはあっても、自分が差別する側に立つことは絶対にないと信じている。実際に自分の身内が、そして自分が主人公のような犯罪者家族と関わるようなことがおきたら自分はどう対処するか。「差別」とは何なのか、「罪を犯す」ことが、どんなに多くの人生を狂わせることになるのかとても考えさせられた。
《ストーリー》
武島直貴の兄・剛志は、弟を大学に入れてやりたいという一心から、盗みに入った屋敷で、思いもかけず人を殺めてしまう。判決は、懲役15年。それ以来、直貴のもとへ月に1度、獄中から手紙を送る剛志。一方で、進学、恋人、就職と、つかもうとした人生の幸福すべてが「強盗殺人犯の弟」というレッテルによって、その手をすり抜けていく直貴。日を追うごとに、剛志からの手紙は無視され、捨てられ、やがて…。